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一言で言ってしまえば、僕こと天城準は引きこもりである。
外出すること自体が嫌いなわけじゃないけれど、可能な限り他人と接触しないようにしていれば嫌でもそう呼ばれる。まあ、僕は実際、嫌がっているわけなのだが。 ――引きこもり。そう、引きこもり。 今時珍しくもない、と人は口を揃えて言うし、世間での扱いも似たようなモノで、例えこのまま僕が干からびて死んでしまったとしても「いつかこうなりそうな予感がしてましたよ」的なコメントが明日の朝刊の隅っこをささやかに飾るだけだ。そうなる前に何かでっかいことでも成し遂げてやろうみたいな気持ちがないわけでもないが、所謂、所詮、名実共に引きこもりの僕に出来ることなんてたかが知れていた。それ以前にそういうことが出来ない、そういう気持ちにならないのだから引きこもりと呼ばれるのであり、僕自身は既にこの悪循環から脱却を図るべくもなく、諦観すら抱いている。 ――そう、彼女に出逢うまでは。 いや嘘だけどね。 誰だよ彼女って。ここ数週間コンビニで「温めますか?」によるイエス・オア・ノーの二択しか会話に迫られたことのない僕には、一人称以外の人間を示す言葉は全くと言っていいほど無縁の話だ。どれくらい無縁かって言うとその店員と核弾頭発射のスイッチくらい無縁だ。一生巡り合うことも叶わないだろう。 巡り合えたらいいのに。巡り合えたら即断即決で押してやるのに。役目を果たさせてやるのに。きっとスイッチも本懐だと思う。そう言えばそのスイッチって埃が付着したりしてもおいそれと掃除出来ないよね、だったら尚更、僕とスイッチは巡り合う必要がある。運命と言ってもいい。優しく埃を拭き取って、まるで女性の身体の一部の突起を押すかのように優しく、「ぽちっ」と押してやりたい。その後、奏でられる阿鼻叫喚は喘ぎ声のようで、想像しただけで後ろめたい気持ちと恍惚感が1:9の割合でいい感じに僕のテンションを高めてくれそうだ。僕とスイッチは、巡り合うべくして生まれた主人公とヒロイン。最高だよ、と思った刹那、自宅の炊飯器の開閉スイッチに埃が詰まり機能しなくなったことを思い出した。そうだ、誇りが隙間に詰まったりしたらどうするんだよ、僕はそのせいで三日も米を食えなかった。そもそもスイッチ一個に世界の命運を預けるのもおかしな話かも知れない。と、なるとその実在すら怪しくなってくる。流石の妄想狂の僕でも、そうやって思い込めない相手には添い遂げられない。添い遂げる気分じゃなくなる。オーケイ、僕の束の間の妄想の産物、また来世で逢おうな愛してるぜ。て言うか何処までスイッチ一つで引っ張るんだよ、と思ったところで目が覚めた。 「……凄い夢見た」 と言うことにしておこう。 枕元に置いてある携帯電話を見た。正直な話、この携帯が満足に満たしている機能と言えば時刻表示くらいなものだ。着信履歴もメールボックスも、頼まれもしないのに勝手に空白になっている。 ……8時2分。普段、そんなに弄りもしないのに、携帯はきちんと数少ない仕事を果たしてくれる。持ち主に似ずに健気だった。 「あー……」 少し頭痛がする。低血圧だからか、毎朝僕はこの頭痛に襲われていた。その痛みと共に、ちらりと読んだ雑誌に載っていた記事を思い出す。携帯電話の電波が人体に与える影響は未だ判っていない、だったか。ひょっとして、この頭痛はそのせいなんじゃないか、唐突にそんな不安に囚われる。訴えるべき場所に訴えよう。そして勝とう。 「別に、食べる分には困ってないけどさ」 金が欲しいわけじゃなかった。そんなもの、と聞く人が聞けば怒り狂うかも知れないが、僕にとってはその程度のモノでしかない。腐るほどってわけじゃないけど一軒家が買えるくらいには蓄えがある。 ちなみに僕はつい先週、18回目の誕生日を迎えたばかりだ。 |
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合宿お疲れさん(・∀・)
どもどもっす。
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